2021/09/04 22:07

さて、第2回はロッドの持つギミックについて

HUNTERS 6/7、7/8の最大の構造的特徴は、ロッドレングスをトランスフォームする“ブランク可変長”機構の搭載。


HT-6/7は6ftと7ftに
HT-7/8は7ftと8ftに....

1本で2通りのレングスを作れる、ゆえに1本の竿で様々な状況に対応が可能。
ってのは発売前から細々とお伝えしてた通り。


今日はもう一歩。

可変長システムを導入した理由について

それは、僕らの釣りや遠征が“旅的”なスタイルをベースにしているところにある



このスタイルで旅した人は理解してると思うし、今後行く人も理解すると断言できるのが

“旅先における道具の少なさ、それは最強の武器”になること。

旅において何かが不足すること困る...けど、余剰な荷物はそれ以上の無駄、邪魔、足枷になる。
Tシャツ1枚すら疎ましくなる...そんな瞬間に遭遇したことは一度や二度じゃない。
増えた荷物によって収納用具が更に増え、荷物が増えることで探し物が荷物に埋もれてすぐには出てこない...では本末転倒。
我々の遠征はライト&ファストな旅的遠征スタイルを前提、よって過剰な荷物はどうあっても悪。
(これだけ国内外遠征に行っておきながら、小塚も私も出発直前はいかに荷物を減らすか?に今だに腐心してる)



過剰な重量と体積はストレージスペースを圧迫。移動となれば肩に膝にその重さがずっしりとのしかかってくる。

(こんな旅だと尚一層、本当に肩にのし掛かる...)


(とある旅、急遽セスナ機に乗る事になった、荷物は1人何キロ!と荷物制限をくらった...)


(実際機内は狭く、そりゃ制限かかるわなと納得、使わない荷物は宿にデポしてきた)


荷物が少ないほど、早く軽くラクに移動が出来、一番の主目的である釣りに気力体力集中力を温存できる。


実際、私の場合、メインバッグに詰め込む荷物は容量の7割程度まで。

(左が60L、右が40L)

60Lバックに釣具に衣類に...旅道具を満タンまで詰めると重量は自然と20kgを越え、オーバーチャージはもちろん、いざって時にまともに荷物を運ぶ、さしては走ることができない。

経験上、走る理由は強盗から逃げるでも、猛獣に追いかけられる...でもなく、チェックインギリギリで空港内を駆け抜けることだったりする…(まじめな話)

こんなことから、荷物は足りるならソレまで、無駄になるような予備を持っていきたいとは思わないのだ。


「足るを知る」

「ライト&ファスト... (もはやLight is Fastかもしれん)」


と、遠征を重ねるほどにその思いは強くなり続けている。

だからこそ、HUNTERSとDear Monsterには汎用性の高さ、些とやそっとでは壊れない強度を求めた。

肝心要の竿であっても持っていく本数は最低限にしたい。
実際に過去の遠征、予備で同じモデルを持って行ったことは数えるほどだ
(大容量のバッグで、予備アイテムまでをドサドサ持っていくような旅、僕なんかにはまだちょっと早いと思ってる)

HUNTERSが採用している“可変長ブランクシステム”



(分かり易くw説明頂きました、ありがとね!)




まぁ、実際の使い分けについては


まずはテスターの実際の使用状況をチェックしてもらうのが早いかな



菅野HT-6/7“6モード”
湿原イトウ


テイクバックスペースが取れない、藪漕ぎがハードだったりするフィールドではとショートロッドが圧倒的にラク、彼の小柄な体格にもマッチしてるものあるか?




川合HT-6/7 “6モード”

バックスペースを取れない、プレジャーボートという制約と、至近距離戦を感度重視で探っていくことを狙って“6モード”
狙い通りの魚なんじゃないか?


が、一方ショアからは
川合HT-6/7“7モード”

ショアからのロックフィッシュには“7モード”
飛距離はもちろん、フッキングストロークも必要となるとこのレングス
グラスコンポジットとはいえ、カーボンメインのブランクならこのあたりの釣りは成立する


菅野HT-6/7“7モード”


時期問わずビッグベイトを多用する菅野テスターのスタイル。
ルアーウェイト1~2ozのジョイクロ178、エスフラットとかにはこのロッドがハマるんだろう



HT-7/8については更に上のウェイト(2~6ozクラス)を守備範囲として設計したのだけど

このロッドをポイントによるレングス使い分けに使う...のもまたアリ

非常にわかりやすいのがモンキス事務所近隣ポイントの
O川は堤防がメインで足場が高い、多分2~3mはあり、ランディングにはタモが必須
ソレゆえにHT-7/8の“8”モードじゃないと足元までルアーを入れ続けれない

そのポイントから少しの移動で到着するS川は打って変わってゴロタサーフ
長すぎるロッドはルアーをドッグウォークさせる際に水面を叩く
ソレゆえにHT-7/8の“7”モードと使い分け。

ルアー、フィールド、体格によって使い分けていける。



ユーザーの池田くん

オオニベ!
HT-7/8“8”
カルコン400にPEは4号、リーダー80lsbs
コノシロスイマー(68g)
サーフキャストでは8のレングスが生きたんじゃなかろうか







此処に加えて、以前店頭のイベントで

「HT-6/7の“7”、HT-7/8の“7”同じレングスだけどどう使い分けるの?」

って話になったことがある。


(上がHT-6/7“7”、下がHT-7/8“7”

こうなると実際同じ7ftだがパワー感は全く異なる。
私個人はHT-7/8の“7”モード(仮称ストロング7)はライトカバーのライギョに使ってテストしてた

(そして私の国内ライギョレコード 汗)
それくらい強いブランクなんだけど、特性上じわっとブランク全体が粘り、魚のファイトを抑え込むようなフィーリングはディアモンとは異なる安心感。
うん、悪くない...どころか、結構好き。
(ビッグベイトをドスドスショートピッチで投げ入れるのとかにも向いてるなと感じてますね)


HT-6/7の“7”(仮称ライト7)は低負荷でもブランクのティップからベリーが吸い込まれるように入っていく
グラスコンポジットブランクスはナマズに使ってみると塩梅が良い...。
実際自分はナマズはMX-7でばっかりやっていたけど、こちらの方がもう1段階オートマチックな感覚、夜などはもっと楽に使えるかなと感じてる。
小塚もつってますねぇ...




小塚もHT-6/7のライト7をハネモノで使用、ルアーサイズ、ウェイト、釣り方といい適切





〜構造について〜

HUNTERSでは、可変長ブランクを実用化するため、ディアモンでは意図的に封印していた印籠継をバット部分にのみ導入している
(図示1参照)




今回のギミックの中心部であるバットパーツ(HUNTERSのロゴが印刷された部分)



ココに順並継を導入しなかった、印籠継を採用した理由を今回説明していこう
(今回はHT-6/7で話をしていこう、#3,#4の話になります)

キモとなる#4が1ft (約30cm)あることが結構大きな部分で
#4は約30cm

「ちょっと曲がらないけど仕方ないか♪」

…って楽観視できるレベルの箇所(長さ)では無い!

曲がらない=力が1箇所に集中

結果折れる

曲がらない竿は投げにくい、折れる、即ち竿として成立しなくなる。


もし、仮に全てのパーツを順並継で作ってたら何が起こってたかというと。

①ハイテーパー化が加速し、バットが過剰に太くなってしまい、全く曲がらない。
②バットパーツが曲がらず、ティップばかり歪なテーパーの竿になっていた
③バットパーツに逆テーパーをかけないといけなかった(!?)


なんのこっちゃですね
けど、全部説明しよう
一気にマニアックなところに踏み込みます。理解が難しいかと思うので、コレ系苦手な人は飛ばしてください。

①ハイテーパー化が加速し、バットが過剰に太くなってしまい、全く曲がらない.. とは?_

並継構造の竿はティップが細くバットが太い(ハイテーパー化)の傾向がある(図示2)



逆並継、印籠継は継部が一度細くなるのでティップからバットまでのハイテーパー化を抑えられる要はバットを比較的細くく作れる利点がある。)

もし、今回並継構造を導入していたら、更に#4が太くなってしまい
アクションがおかしい、要は極端なファーストテーパーになってしまう竿になってしまっただろう。


絶対使いにくいし、今のアクションをだせなかった!



そして、この話は
②バットパーツが曲がらず、ティップばかり歪なテーパーの竿になっていた
にも繋がっていく。

②、 1のまま無理矢理に並継構造をバットパーツまで導入していたら、
極端、やりすぎなファーストテーパーになってしまい、負荷がティップ〜ベリー部分に一局集中、結果強度の出ない竿、要は折れる竿になってしまう

(デフォルメしたけど、極端な話こんな感じね)

強度が出ないのは遠征を視野に入れたロッドとしては困る!いや、無理!


③、 1と2を踏まえて、クリアする手法をとしてバットパーツ#4に逆テーパーもしくはテーパーのかかっていないパイプ状のパーツを使う方法がある(図示3)



(かなり誇張したイラストにはなりますが....こういうこと)

いや...どう考えても不自然、ティップからバットにかけて逆に竿が細くなっていく



苦肉の策としてこうやって逆テーパーをかければなんとか形になる…がアクションももちろん、強度も落ちる。


そう、何よりロッドとして美しく無い...ぜ?

つまりは、強度、テーパー、総合的なロッドのクオリティを考慮すると
印籠継を導入せずにはこのロッドは実現できなかった。

ってのがモンキスとしての見解です。

そんな訳でHUNTERSはこんな構造


よく話題になるけど、順並継、逆並継、印籠継どれが一番強度がでるか?

だけど、モンキス的には順並継が一番強度が出ると思って採用してる。
とはいえ、逆並継、印籠継もしっかり設計すれば同様強度は出る

俗に言われる弱い印籠継ロッドは
1PC前提のブランクを切断&分割、そこに有り合わせのスピゴットを差し込んだ…要は設計をきっちり出していないモノ、そんな印籠継竿は強度が出ない。(断言)


が、設計段階から印籠継前提で創った(ブランクも継部分も専用設計)の竿であれば、継を入れる部分には補強カーボンを入れて、スピゴットもベンドと強度を考慮したものを専用設計し…
設計に手間と時間、場合によっては費用をかければ強度は出せるし、出した竿がたくさん世の中に存在する。

だから、今回HUNTERSでは強度をしっかり出した印籠継の使用感を楽しんで欲しい

こんな大物だって相手にできる竿だもの。




そして、今後もこの構造は継続していく


HT-6×4S、詳細は11月にも!




〜機能の拡張〜


まだ市販化まではいたらないけど
1/2フィート、ガイドレス、カラー展開のオプションアイテムも試作&テスト



HT-6.5、HT-7.5、いやそれ以上の機能拡張の可能性も!?

やってるウチらですら妄想広がる
もちろんショート&ロンググリップなんかも設計は可能(未着手)

さらにもう一手は...

〜穂先アイテム〜
これは菅野テスターの私物、私たち自身も船からの石鯛釣りで自作しては遊んでいたグラスソリッドティップ
カーボンソリッドでは取れないアタリを可視化できるようになる。






(ユーザーさん小野くんの自作品、完成度高い)




(夫婦揃って結果を出して行った...別格)




コレは構造上、印籠継、逆並継でもできない、順並継構造だからこそ出来る遊び
※HUNTERSはバット部分のみ印籠継、そのほかは純並継

実際強度テストなど完了すれば、発売してもいいんだけどね

と、ロッド1本に、こんな拡張性や遊び、楽しい未来を乗せてみてる。


もちろん過去に生産したNude510/53のように、通常使用可能な変え穂があれば...


1本のロッドでカバー可能な守備範囲は更にもう1段階増える


「むむむ、マジで無限」

バット&ティップ、パワーにレングスにカスタムパーツによる機能拡張で可能性は無限に!

(どんどん話が拡張してきてキリがなくなってきたぞ 汗)


すなわち、前回に続き、

コンパクトだけがパックロッドじゃない!

いや、

コンパクトであることだけが、パックロッドの全てじゃ無い。



って、こういうことだ。




DearMonsterのグリップ互換システムは状況によって、ロッドの一番使えるセッティングに変更し
フィールドの状況、ターゲットやルアーだけにあわせて変更していける
何よりグリップすらも体格に合わせてセッティング変更できるのが強みだ
ただ、2、3本揃えるとなるとどうしても金銭的負担も増す(汗


そんなところも踏まえて、HUNETRSはワカモノへ!ってロッドとして謳っていたこともありますが、
なんか私あんまり若手若手言いすぎたかな(汗
30~50代のユーザーさん方々から
「若くもないのに買いましたゴメン」
みたいなコメントを何件もいただきました
いや、全然構いませんwむしろ使ってw

社員旅行で海外に…自由な日程があるから釣り堀に行くけど、流石に何本も竿を持っていけない…
出張先、どんなフィールドか分からないエリアを幅広く釣りをしたい。
いや、そういう人に向けた竿です、是非使ってよ!


ただ、今後を担う若いユーザーを応援したいって気持ちは変わらず
今後そんな応援企画をやろうか?とコヅカと企画中

と、大変長くなった、今日はココまで。

が、まだ続きますw



ヨシダ